「スガシカオ2」
スガシカオの楽曲はクオリティが高い。楽曲が高いのだから当然アルバムは(いや、音楽家としてはアルバムが本質なのだけれど)素晴らしいに決まっている。
と、いうわけで。私が選ぶスガシカオの3枚。
1.FAMILY
2ndアルバム。一番最初にハマった。他のアルバムより、スガシカオのクールでコアな面が全面に出ていると思う。01.日曜日の午後がそれはそれは死ぬほど好きですが、02.ストーリー~03.愛についてが良すぎて涙が出るほど。
隣の部屋で眠っている 父親をおこしに行くけれど
雨戸が全部閉まっていて どこにいるのかもわからない
ぼくのかわりに誰かがおこせばいいのに・・・ ”日曜日の午後”
こんな脳内再生余裕のよくあるイメージを、淡々と描いてメロディに上手く乗せる才能。「ぼくのかわりに誰かがおこせばいいのに」のフレーズ大好き。
ただひとつ 木枯らしにこごえる日には
かじかんだ手を 温めてほしい ”愛について”
このたった2行で愛について語れちゃっているのが凄まじい。サビは聴くたびに鳥肌が立ちます。こんなに短く愛について的確に書いてあるから、もう他のラブソングはうまく聴けない。
シングル曲も最高ながら、05.たいくつ/ゆううつ、09.バクダン・ジュース(生タイプ)←オリジナルverよりよっぽど良いなどアルバム曲が粒揃いで、尚且つすごくまとまりの良い仕上がり。最後の10.お別れにむけても地味に良い曲。ジャケットもアルバムの世界観のまんまで好き。
2.SMILE
大・大・大名曲02.アシンメトリー、07.サヨナラはもはや別格。01.Thank you、出だしからスガシカオらしい皮肉たっぷりの”ありがとう”な歌に大満足。
しかしこのアルバム、だいぶイカれている。というのも、03.優等生は男の気持ちそのまんまを書いたような・・・はっきり言ってAV観た後に書いたみたいな(笑)、女には理解しがたくポップなサビが気持ち悪い(褒め言葉)。
ゆるしてくれるよね? 優等生に不機嫌な顔は似合わない
君にふさわしいのは 夏の空と白い雲のようなLove Song
*
優等生じゃない君に 何の魅力もない
真っ白なシャツが汚されたとしても 剥がされたとしても・・・
06.Go!Go!は気になってた女の子に近づいたら騙されて英会話の教材買わされたオチの話(さらにその歌詞の男は騙されたくせに「うまくすれば英語も喋れるし…」とかほざいている)。08.あだゆめ、歌詞の世界観がまったく分からない。えーっと、統合失調症の症状じゃないよね?(しかしメロディはめちゃくちゃ良い◎)09.はじめての気持ちはなんと友達の弟好きになっちゃったまさかのBLソング(これもまたメロディ最高に良い◎)。
別に何も用がないことを 君の顔見に来てるだけってことを
まだ気づかれてない・・・
*
だけど もしうまくいったとして 日曜日に手を繋いだりするのかな・・・
*
はじめてのこんな気持ちを 誰かに話したいけど
君がぼくの友達の弟でさえなければ・・・ ”はじめての気持ち”
※2番では抱き合う瞬間~イロイロを想像している主人公の心情が。。こんな発想でここまで具体的に書けるのが怖い。
・・・濃い!濃すぎる!!詩の設定がいつも以上に具体的で、振れ幅が広すぎて惑わされるのだが、不思議とアルバムとしてまとまっている。凄いぞスガシカオ・・・。ただ、やはりちょっと異質だと思う、このアルバム。だからこそ惹かれるのだ。
3.Sweet
こんなド直球なタイトル、なかなか無いなぁと思ったが、ふさわしい内容で安心した。いや、ふさわしいというか、感動でした。
曲目を見ても、シングル曲が全て光っている。01.あまい果実(これをシングルにする勇気!時代!)、06.夜明けまえ(今聴いても新しい)、10.ぼくたちの日々(締めにぴったり)。これだけで充実感があるが、さらに03.夕立ちが何といっても素晴らしい!!これを聴くためだけに買っても良い。日本人の大好きな切ないメロディラインと空虚な歌詞がばっちりハマっていて…夕暮れ時に聴くとホロリ。
02.正義の味方のサビ部分は、今聴くと「どぶろっくはこの曲からインスピレーションを受けたんではなかろうか」と思ってしまうのだけど私だけか?
もしかして あれはもしかして
むかし正義の味方で 今はもう多分今はもう
出番がなくて家にいるのかも・・・
08.グッド・バイも”夕立ち”並のおセンチな名曲。たまらなく良い。
このアルバム、女性は好きなんじゃないかなぁ。聴いていると気持ちが”女の子”になる(笑)。スガシカオの持つ独特の言い回しと、色気と、ファンクと、優しさがこんなに詰まっているアルバムは他に無い。
せっかくなので他アルバムも一言感想的に。
4.CLOVER 1stアルバムとして「スガシカオ」が上手くパッケージされていると思うが、個人的にはまとまり過ぎてる感があるかな・・・。でも”ドキドキしちゃう””月とナイフ””イジメテミタイ””黄金の月”など聴きたくなる曲多数。よく再生します。
5.TIME 良作。アルバムとしては良いのに、地味。多分『SMILE』と『PARADE』のちょうど間に居る感じがすごくするから(笑)。ポップすぎずファンクすぎず。かなりサラッとしていてお洒落なアルバム。特に”June””アーケード””カラッポ”が大好き。
6.PARADE 長年のファンク寄りからポップ寄りに移行して、ファンク+ポップを上手く表現している良いアルバム。初めての人も聴きやすい一枚。”午後のパレード”は何度聴いても素晴らしい。ただ、私は上3枚が好きな「濃いシカオ」ファンなのであっさりしすぎていて…
7.THE LAST 久々のアルバム、また進化していて&シカオファンク・毒が炸裂、復活していて嬉しい。”海賊と黒い海””おれ、やっぱ月に帰るわ””愛と幻想のレスポール”この三曲は本当に恰好良いですねぇ。ただ、小林武史が今までの既出曲を入れない方向で動いた為に、アルバム通して聴くとなんだかもったいない出来に。。THE BESTに入っている”アイタイ””Re:you””傷口””赤い実”これらを差し替えor差しこめば、もっと名盤になってたような気がします。う~ん、本当もったいない。”したくてたまらない”はもろFLYING KIDSでびっくりした!浜ちゃんが歌ってるのかと思ったよ。
8.4FLUSHER ”かわりになってよ”が凄く好きだけど、他はあまりピンと来なかった。かな~り地味なイメージですごめんなさい…雰囲気としては『Sweet』に近いかも。これも女性が好きそうなアルバムだ。
9.FUNKAHOLiC、FUNKASTiC インタビューを読んだとき、「この二部作は迷っていてとりあえずファンクに頼った」と言っていたんだけど正直ファンクにもポップにも頼りきれていない、振り切れていない、中途半端なアルバムだなと思った。2回くらいしか通しで聴いていない。”91時91分”は好きだが…
朝の通勤からいきなり『FAMILY』とかはちょっと重たいので、『PARADE』がおすすめ。夜の帰り道に『Sweet』聴くと最高に気持ちいい。『TIME』は運動中に良いかも。などと毎日考えて聴きまくっています。1日3シカオくらい消費してる(意味はなんとなくくみ取って)。